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2012-02-12

ソース(記事原文):オールボイセズ

認可済医薬ターグレチン(Targretin)がアルツハイマー病を好転させる見込み

オールボイセズ(2012年2月12日)― デビー・ニコルソン (Debbie Nicholson) 著

10年以上前にFDAが認可した皮膚ガン治療薬、今度はアルツハイマー治療の可能性

ターグレチン(ベキサロテン)カプセル剤は、少なくとも1つの全身治療で効果がなかった場合に、皮膚T細胞性リンパ腫つまりCTCLと呼ばれる病気から生じる皮膚疾患の治療に用いられているが、アルツハイマー病の患者に期待が見込めるかもしれない。

認知症のうち最もよくあるアルツハイマー病は、65歳を超えた10人に1人が罹っている。現在アルツハイマー病の治療法はないが、ケース・ウエスタン・リザーブ大学医学部(Case Western Reserve School of Medicine)の研究者らが、皮膚ガンに既に認可されている薬を用いることで、この疾患の有望な治療法を見出した可能性がある。この新しい発見は、アルツハイマー病の治療薬を見出す取り組みにおける、劇的な進展だと称されている。

実験の1つで、研究者らはケージ内にティッシュ紙を置いた。マウスは本能的にティッシュを使って巣を作るが、アルツハイマー病のマウスはティッシュを使って何をすべきなのかわからなくなっていた。この反応が示したのは、アルツハイマー病のマウスはティッシュと巣とを関連付ける能力を失ったということである。ベキサロテンを投与されるとわずか72時間後にマウスはティッシュで何をすべきかを前と同じように思い出し、巣を作り始め、この薬がマウスの行動を回復させたことを示した。行動が向上しただけでなく、臭いを感知し反応する能力も向上した。

別の実験では、この薬による治療の前後でマウスをテストし、記憶力が向上したことが示された。アルツハイマーのマウスは以前に痛みを伴う電気ショックを受けたケージに真っ直ぐ入っていったが、この薬による治療後は、マウスはケージに入ることを拒んだ。記憶力でショックを思い出したのだ。

ベキサロテン治療は素早く作用し、アミロイド斑の脳からの除去を活性化させることが見出された。アミロイド斑はアミロイドが小さく凝集したもので、脳に形成し、アルツハイマー病の病理学的特徴である。マウスがベキサロテンを投与されてから72時間以内にアミロイド斑は除去された。最終的な減少は合計75パーセントであった。ベキサロテンが脳の免疫細胞を再プログラミングし、蓄積アミロイドを消費したようである。ベキサロテンが脳内の可溶性アミロイドベータおよび蓄積したアミロイドベータ双方に作用し、マウスでアルツハイマー病の病的特徴を好転させることをこの観察は示した

ケース・ウエスタン・リザーブ大学の博士候補者で本研究の著者であるペイジ・クレイマー (Paige Cramer)は書面による一般公開で、これは前例のない発見だと述べた。「これまでのマウスでのアルツハイマー病の治療薬は、最良のものでも、脳のアミロイド斑を減少させるのに数ヵ月要していた」

神経学部長ゲーリー・ランドレス(Gary Landreth)博士(神経科学)と2008年のこの研究の共同執筆者は、脳の主要なコレステロールキャリアであるアポリポタンパク質(アポE)がアミロイドベータタンパク質の除去を促進することを見出していた。

ランドレス博士と博士の研究室の大学院生は、この薬をアポEを増やすのに用いれば、アルツハイマー病になるように遺伝交配されたマウスのアミロイド斑の一部を減少させることができると考えた。

この研究はアルツハイマー病の第一危険因子とそれに対処する有望な治療法との関連性を確立した。

クレーマーによると、マウスでのアルツハイマー病のこれまでの治療薬は、最良のものでも、脳のアミロイド斑を低下させるのに数か月要していた。

ランドレス博士は「我々が発見した新しい科学とアルツハイマー病の治療法の有望な見込みという点で、これは特に素晴らしく有意義な研究だ。明らかにしておかなくてはならないのは、この薬が良い効果を示すのはアルツハイマー病のマウスモデルであり、我々の次の目標はヒトにも同様な作用があることを確認することだ。我々は初期段階におり、これからこの基礎科学の発見を治療法に変えていくのだ」と付け加えた。

ベキサロテンには良好な安全性・副作用プロファイルがある。研究者らはこれらの点で、この薬の臨床実験への移行が迅速化されるのではないかと期待している。

研究者らはできるだけ早期のヒトでのベキサロテンの研究認可を希望している。ランドレス博士は、医師が既に患者からこの薬の問い合せを受けていると聞き、緊急性があると投稿で延べている。博士は実際、「我々は迅速に研究を進め、正しい結論に向かわなくてならない。これは失敗できない研究だ」と言及している。

この研究はサイエンス誌に掲載される。

よいニュースと共に、悪いニュースもある。ウォールストリートジャーナルに語った医師によると、この薬にかかる費用は月額約1,200ドルで、保険が適用される可能性は低い。


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