皮膚がん

皮膚がん

◆皮膚がんとは◆

皮膚がんとは皮膚組織に発生するがんの総称です。

オゾン層の破壊による紫外線量の増加や高齢化社会に伴い、その患者数は年々増加しており、年間約3000人において発症が認められるとされています。

 

◆皮膚がんの種類と症状◆

皮膚がんには多くの種類がありますが、中でも一般的なものが基底細胞がん有棘(ゆうきょく)細胞がん、そして悪性黒色腫(メラノーマ)と呼ばれるものです。

 

基底細胞がん

皮膚がんの中でも最も発症頻度が高く、年間10万人中約5人に発症しているとされているものが、表皮の一番下の層である基底層に発生する基底細胞がんです。

発生部位の約80%が日光にさらされやすい顔や頭であること、また患者の70%近くが60歳以上の高齢者であることなどから長期間に渡って紫外線を浴び続けたことによって発症すると考えられています。

発症するとほくろに似た黒色、あるいは黒褐色をした丘疹が現れます。

その後症状の進行につれて丘疹は腫瘍となり、その後中心部が陥没して潰瘍となります。

他のがん(癌)と異なり遠隔転移というものを起こしませんが、局所での増殖し、周囲の筋肉や骨といった周辺組織を破壊するという特性を持っています。

特に顔に発生することが多いため、進行すると目、口、鼻、脳などに深刻な影響をもたらすことがあるとされています。

 

有棘細胞がん

有棘(ゆうきょく)細胞がんとは表皮の有棘層の有棘細胞に発生するがんで、基底細胞がんに引き続いて発症率が高いとされています。

顔や首、手の甲など主に日光に当たる場所に発生しやすく、特に長い年月に渡って日光の照射を受けた部位の皮膚の変色やカサカサとしたうろこ状への変化といった日光角化症(老人性角化症/光線角化症)と呼ばれる皮膚の病変跡にできることが多いのが特徴です。

症状は発生部位やその原因によってさまざまとされていますが、一般的には赤くかさつき、固く盛り上がった病変部が認められるとされています。

発生した有棘細胞がんの進行は非常にゆっくりとしたものですが、症状の進行に従いリンパ管を解して遠隔転移する場合もあるとされています。

 

悪性黒色腫(メラノーマ)

皮膚がんのうち最も悪性が高いのが”ほくろのがん”としても知られている悪性黒色腫(メラノーマ)です。

メラニン色素を産生するメラノサイトと呼ばれている色素細胞やほくろ細胞ががん化することによって発症するとされています。

悪性黒色腫(メラノーマ)は次の4つの病型に分類されています。

悪性黒子型黒色腫: 日光に照射されやすい露出部位に発症

表在拡大型色素腫: 全身のどこにでも発症し、わずかに隆起した不揃いの色素斑を形成

結節型黒色腫: ドーム状に盛り上がった病変を形成し、進行が早い

末端黒子型黒色腫: 足の裏や手のひら、爪などに発症に、日本人に最も多く見られるタイプ

 

悪性黒色腫(メラノーマ)はがん(癌)の中でも悪性度が高いとされており、ごく小さいうちから転移しやすいという性質を持っています。

黒色腫がいったん転移してしまうと5年後の生存率は10%とされているため、早期発見の外科療法による病巣の切除が大切とされています。