痔核(いぼ痔)

いぼ痔

◆ぢ(痔)とは?◆

ぢ(痔)とは肛門周囲に生じる痔核(いぼじ)、痔瘻(じろう)、裂肛・裂痔・切痔(きれじ)などの病気の総称です。

ぢ(痔)は成人の約3分の1が患っていると言われるほど一般的な病気とされています。

しかし患部が肛門周辺であるため「恥ずかしい病気」というイメージがつきまとってしまい、そのため受診をためらう人が多いのが実情です。

初期段階のぢ(痔)は生活習慣の改善や薬物治療といった内科的治療によって根治させることが可能ですが、放置によって悪化すると外科的治療が必要になることもあります。

また、ぢ(痔)の症状の一つである排便時の出血は大腸がんの症状と酷似しているため、勝手にぢ(痔)と思いこむことによってがんの早期発見が遅れてしまうという危険性もあります。

 

痔瘻(じろう)に関して詳しくはこちら

裂肛・裂痔・切痔(きれじ)に関して詳しくはこちら

 

◆痔核(いぼじ)◆

ぢ(痔)の約50%を占めるといわれているのが通常「いぼじ」と呼ばれる痔核で肛門周辺に形成されるイボのような塊が特徴です。

形成される場所によって名称がことなり、肛門の内側に形成された塊を内痔核、肛門の外側に形成された塊を外痔核と呼んでいます。

 

内痔核の症状は進行度に合わせてI度~IV度に分類されています。

・I度:血管の塊(いぼ)が直腸の内側に作成された内痔核の初期段階。

・II度:血管の塊(いぼ)が排便時に肛門の外に脱出しますが、自然に肛門内に戻る。

・III度:排便時に肛門の外に脱出した血管の塊(いぼ)が自然に肛門内に戻らなくなる。

・IV度:排便に関係なく血管の塊(いぼ)が脱出した状態。

 

◆痔核(いぼじ)の原因◆

痔核(いぼじ)の原因は肛門部のうっ血です。

肛門は直腸と直腸を囲んでいる筋肉、そしてそれらにつながった皮膚からなっていますが、この筋肉、直腸と皮膚の間には細かい血管が集まり、「肛門のクッション」と呼ばれる弾性のある固まりを形成して便やガス漏れを防ぐ役割を果たしています。

痔核(いぼじ)は便秘や排便時のいきみなどによる肛門部の圧迫、または長時間立ちっぱなし、座りっぱなしといった同じ姿勢を取り続けることによる肛門部の血行の悪化によって、「肛門のクッション」を構成している血管に血液がたまり、塊(いぼ)を形成することによって発生します。

 

◆痔核(いぼじ)の症状◆

内痔核の症状:

I度: 排便時の痛みを伴わない出血

II度: 排便時のいぼの脱出、肛門周辺の違和感、残便感、出血など

III度: 脱出後、指で押し戻す時の出血、うっ血による痛み、肛門周辺の異物感、残便感など

IV度: 肛門周辺の異物感、下着が汚れる、肛門周辺のかぶれや湿疹など

 

外痔核の症状:

肛門周辺のいぼの発生、排便に関係のない出血、激しい痛み

 

◆痔核(いぼじ)の治療方法◆

初期段階の痔核(いぼじ)や裂肛・裂痔・切痔(きれじ)は、専門家による適切な指示に基づく生活習慣の改善と薬物治療によって根治することができるとされています。

痔瘻(じろう)は薬物治療で根治させることができないため外科治療が必要になります。

ぢ(痔)の治療に使用される薬には、坐薬、塗り薬、そして内服薬があります。 

このうちの坐薬や塗り薬には、排便時に肛門の粘膜を保護することによって痛みや出血を緩和させる作用があり、一方内服薬には便を軟らかくしたり、炎症を抑えたりするなど作用があります。

しかし、これらの薬はあくまでも症状を緩和するための対処療法薬でしかありません。

ぢ(痔)を根治させるにはこれらの薬物療法で症状を緩和しつつ、ぢ(痔)の原因となる便秘や下痢、或いは免疫力の低下を適切な食事適切な食事や、適度な運動、充分な睡眠などによって予防する必要があるとされています。