水虫(真菌感染症)

水虫(真菌感染症)

◆真菌感染症とは?◆

真菌とはカビの仲間の総称です。

この真菌によって引き起こされる真菌感染症は表在性真菌症と深在性真菌症(全身性真菌症、内臓真菌症)に分類されます。

表在性真菌症が、爪、髪を含む皮膚、及び粘膜への感染症であるのに対し、深在性真菌症(全身性真菌症、内臓真菌症)は臓器や組織への感染症で、特に癌や骨髄・臓器移植に伴う処置、或いはAIDSなど免疫力が低下した場合の日和見感染としてみられるのが特徴です。

 

◆水虫とは?◆

水虫はカンジタ症、澱風(でんぷう)と並ぶ表在性真菌症の代表的な疾患です。

白癬(はくせん)菌という真菌が足の皮膚に感染し、繁殖することによって生じる痒み、皮膚のただれや剥がれといった症状が水虫です。

感染する箇所によって趾間(しかん)型、小水泡型、角質増殖(角化)型、爪白癬等に分類され、その症状や特徴もことなります。

水虫になっても皮膚科を受診しなかったり、市販薬を使用する人が多いことから正確な患者数はわかっていませんが、約5人に1人(つまり約2000万人~2500万人)であろうと推定されています。

 

◆原因◆

主に白癬菌と呼ばれる真菌がケラチンというたんぱく質を主成分とする皮膚の一番外側の角質層に入り込み増殖することによって発症します。

白癬菌は水虫の人が素足で歩いた床、畳、お風呂の脱衣所にあるマット、共用のスリッパ、或いは水虫の人と靴下や靴など白癬菌が付着したものを共用することによって移るとされています。

しかし、真菌の感染力は比較的弱く、菌の皮膚への侵入、感染には最低2日かかると言われているため、たとえ白癬菌と接触するようなことがあっても、接触部(足)を洗浄するなど、清潔に保つことによって感染を免れることができるとされています。

また、白癬菌は高温多湿の環境を好むため、また、かつては靴をはく時間が長い男性に多くみられ、高温多湿となる夏に発症することが多いとされていましたが、最近では暖房設備の完備や、ブーツの着用などによって秋冬の発症が増えているとされています。

 

◆症状◆

 

1. 趾間(しかん)型

・足の指の間の皮膚がジュクジュクして白くふやけ、剥離、ただれ

・軽い痒みを伴う場合もある

 

2. 小水泡型

・土ふまず、足の外側、足指の腹などに発生する激しい痒みを伴う小さな赤い水ぶくれ

・水ぶくれが破れた後の皮膚は白く乾燥し、剥離

 

3. 角質増殖(角化)型

・足の裏(特に踵)の皮が厚く硬くなる。冬などに乾燥するとひび割れを起こす場合もある

・痒みは特に無い

・あかぎれに症状が似ている為、水虫であるとの自覚がなく、慢性化する場合が多い

 

4. 爪白癬(爪水虫)

・一般的に足の水虫が爪に感染することによって発症

・痒みはなく、爪が白く濁ってもろくなり、ボロボロと欠けてくる

 

◆治療◆

基本的にはまず塗り薬の外用抗真菌薬での治療が中心となります。

抗真菌薬は真菌独特の細胞膜構成要素であるエルゴステロールの生成を阻害することにより真菌の増殖を停止させる作用を有しています。

通常白癬菌の繁殖している角質層は約1ヵ月間で新しい角質層と入れ替わるとされているため、最低でも1カ月以上は塗布する必要があるとされています。

また、患部以外にも原因となる白癬菌が生存している場合があるため、より広い範囲に塗布することが有効とされています。

また、白癬菌を完全に角質から除去するために、長期化した水虫の治療においては、例え症状が見られなくなったとしても最低6ヶ月間は薬による治療を継続することが望ましいと言われています。

また、外用真菌薬にはクリーム、軟膏、ローションなどがありますが、それぞれの特徴に合わない使用によってかえって症状を悪化させてしまうことがある為注意が必要とされています。

塗り薬が浸透しにくい爪白癬や角質増殖(角化)型水虫には内服薬(飲み薬)が有効です。 ただし、通常は長期的な治療が必要になります。

爪に白癬菌が取り付き、次第に爪のつややかさが失われ、変色し分厚く変化していく「爪白癬」や、水虫が慢性化し、足の裏全体が厚く硬くなり、あかぎれやひび割れのような状態になり皮膚が剥ける「角質増殖(角化)型水虫」の場合、クリームやジェルタイプでは薬の成分が菌に到達しにくいため、通常は内服薬(飲み薬)が使用されます。

新しい薬の登場により、従来は治療が難しいと思われていた難治性の水虫も治療が可能になってきています。

 

クリームタイプ

ジェル(軟膏)タイプ

内服薬(飲み薬)