悪性リンパ腫

悪性リンパ腫

◆悪性リンパ腫とは◆

悪性リンパ腫とは血液のがんのひとつで白血球の1種であるリンパ球ががん化したもので、年間約12,000人が罹患しているとされています。

白血球の1種であるリンパ球は、免疫機能の中心的役割を担っている細胞で病原性を持つ異物を認識し、他の免疫細胞を活性化させる役割を持っています。

全身に散在しているリンパ節と呼ばれるソラマメ大のふくらみで産生され、リンパ節同士をつないでいるリンパ管をとおって体内を循環し、最終的には静脈に合流し血液と共に体内を循環しています。

 

悪性リンパ腫とはこのリンパ節、リンパ管、リンパ球の総称であるリンパ系組織に発生するがんの総称であり、特定のリンパ系組織に発生した特定のがんの名称ではありません。

大きく分けて首のリンパ節の腫れから始まり、わきの下のリンパ節、脾臓という順番で病巣が広がり、特徴的な大型細胞が認められるホジキンリンパ腫(ホジキン病)と、ホジキンリンパ腫(ホジキン病)以外の非ホジキンリンパ腫とに分類されていますが、欧米ではホジキンリンパ腫(ホジキン病)の発生率が高いのに対して、日本での発症率は約10%と低く、非ホジキンリンパ腫の発症率が高くなっています。

 

◆悪性リンパ腫の症状◆

悪性リンパ腫の症状としては首、わきの下、足の付け根なに痛みを伴わない腫れやしこりが現れるのが一般的です。

また胸部リンパ節の腫れによる気道の圧迫による咳や呼吸困難が現れたり、症状が進行して体の深部にあるリンパ節の腫れが臓器を圧迫することによる発熱、体重減少、食欲減少、便秘、腹痛、足のむくみ、顕著な寝汗などといった症状が現れることがあります。

 

◆悪性リンパ腫の治療法◆

悪性リンパ腫は腫瘍を形成しないタイプのがんであるため、その治療は主に薬物療法と放射線療法が中心となっています。

また、がん細胞が完全に消えたことを証明することができないため、治癒の程度は治療前に腫れていたリンパ節が発病前の大きさに戻るか、病変の消失を目安に緩解(寛解)といった言葉が用いられています。

かつては”不治の病”とまでされていた悪性リンパ腫ですが、現在では分子標的薬などの薬物療法の進歩や造血幹移植などによって5-6割において治る(完全緩解(寛解))とされるようになっています。