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2011-10-13

ソース(記事原文):ファミリープラクティスニュース

尿失禁には多数の治療選択肢が存在

ファミリープラクティスニュース(2011年10月13日)― ダグ・ブランク(Doug Brunk)著

尿失禁は女性が生涯で直面する最も厄介な疾患に相当すると思われる一方、治療を模索する患者の80%~90%で症状の緩和が得られるという朗報もある。

ワシントンホスピタルセンター(Washington[D.C.] Hospital Center)の女性骨盤医学・再建外科部門(Section of Female Pelvic Medicine and Reconstructive Surgery)を統括しているシェリル・イグレシア(Cheryl Iglesia)博士は、「こうした女性の生活の質(QOL)を元通りにできるのが私の仕事の醍醐味である。尿失禁は、自信・女性らしさ・行動量・自尊感情に影響を及ぼす」と語った。

腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁に対する治療は、近年拡大するとともに進歩している。抗ムスカリン療法に不耐性または反応が不十分な切迫性尿失禁の女性に対し、失禁を阻止する最新の治療法ボトックスが8月24日に承認された。

アナーバーに在るミシガン大学の産科学・婦人科学教授ディー・エレン・フェンナー(Dee Ellen Fenner)博士は、「大半の治療法がそうであるように、ボトックスも誰にでも効くわけではないが、極めて有効となりうる」と述べた。「全般的に、女性の忍容性は極めて良好であると思われる。これは処置室(手術室ではなく)で膀胱鏡を用いて膀胱筋へ注射するものである」

尿失禁に対する薬物治療や外科治療を検討する前に、水分摂取を制限すること(「口渇感に従う」)や、カフェインやその他の膀胱刺激剤の摂取量を減らすこと、定期的に排尿することなど保存的治療を試すことが推奨される。

ケーゲル体操を用いて骨盤底筋を強化することも有用である。「骨盤底の作動に関する訓練を受けた理学療法士の数が全米で増加している」とフェンナー氏は指摘した。「理学療法士は専門的意見を提供し、実際に女性の骨盤底のリハビリテーションを行う助けとなる。あらゆるタイプの尿失禁に効果的である」

尿失禁に対する治療は、女性患者の症状や目標によって決まる。腹圧性尿失禁の女性の場合は、失禁用のディシュ(Dish)ペッサリーまたは環状ペッサリーを膣内留置することで十分であろう。これらの装置は、尿道括約筋の支えとなることで機能する。「ペッサリーは手術ほど強力ではない」とイリノイ州メイウッドにあるロヨラ大学シカゴ(Loyola University Chicago)女性骨盤医学・ 再建外科部門を統括するリンダ・ブルベイカー(Linda Brubaker)博士は述べている。「手術を受けた人の方が、満足感が得られ、症状のコントロールも良好になることが多い。一方、ジャズ体操教室やランニングの際にしか症状が出ない人で、手術を望まないか、手術を受ける準備がない人の場合は、環状ペッサリーが最適かもしれない」

ミシガン大学ヘルスシステム(University of Michigan Health System)産婦人科学の責任者でもあるフェンナー氏は、出産後に尿漏を経験する母親には環状ペッサリーを勧めることが多いが、「それは骨盤領域の組織・筋肉・神経は、9~12ヶ月で 治癒するからである。環状ペッサリーの着用が適している」と述べている。

腹圧性尿失禁に対するその他の治療法を以下に挙げる。

・尿道膨張性薬:米国食品医薬品局(FDA)によって承認された尿道膨張性薬には、コラーゲン(商品名:Contigen)、カルシウムヒドロキシルアパタイト(Coaptite)、炭素粒状粒子(Durasphere)などがある。これらの薬剤は、処置室で尿道に注入される。イグレシア氏は「麻酔は軽く患者は同日に帰宅できる」とし、「尿道膨張性薬を用いた患者のほとんどは調整治療が必要になる」と語った。

・吊り上げ術:ポリプロピレンのメッシュ(テープ)で出来ていることの多い尿道スリング手術が現在の標準的手術である。イグレシア氏によれば以下の3種類あるという。1) U字型を形成するように恥骨後隙を経由する恥骨後式スリング手術。2) 「H」のような字形を形成しながら大腿近傍の鼠径部のヒダを通過する経閉鎖孔式スリング手術。3)膣内の単一切開により筋肉へ挿入し、出口の傷口は全くない新しいミニスリング手術。恥骨後式スリング手術に関する12年間を上回るデータから、「患者は十分満足し、治癒しないかもしれないが、この処置で著しく改善したという点において80%を超える有効性が明らかになっている」と同氏は述べている。

尿失禁に対する尿道スリング手術は「効き目は高いが、人工物質を使用する際に必ず生じる問題がある」とロヨラ大学シカゴの暫定学部長でもあるブルベイカー氏は述べた。「異物(人工物質)トラブルは少ないが持続的に発生する一方、大した問題ではない」

恥骨後式スリングと経閉鎖孔式スリングの安全性および有効性に関するデータは安定したものであるのに対し、ミニスリングの長期的有効性に関するデータは非常に限られている。

7月13日、FDAは骨盤内臓器脱に対する外科用メッシュ経腟的留置に関連した重篤な合併症に関する安全性に警告を発した。臓器脱用のメッシュとは、スリング手術で使用されるメッシュテープと比べ、かなり大きいシートのことである。米国婦人泌尿器科学会は、用意された声明で、この報道の結論および指針は「メッシュの有益性が明確に概説されているがリスクについてはそうでもない腹圧性尿失禁の治療に対する合成素材のメッシュの使用には適用されない」と指摘した。FDAの医療機器諮問委員会の産科婦人科機器委員会(FDA Obstetrics and Gynecology Devices Panel of the Medical Devices Advisory Committee )は、9月8日~9日に会合を開き、スリング手術に関し同様の結論を出した。

また、同声明で米国婦人泌尿器科学会は、これらのデバイス(装置)の承認プロセスが改善されたことを支持している。具体的には「新しい外科用デバイスや医療材料が市販される前に、より長期的かつ優れた無作為化試験が行われること」に加え、登録簿や国内データベースによる改良型の市販後調査が行われることなどである。

・恥骨後部尿道固定術(バーチ手術):治療法同士を1対1で比較する研究により、バーチ手術は合成素材を用いた恥骨後式スリング手術と同等に有効であるが「浸潤性がわずかに大きい」ことが明らかにされた、とイグレシア氏は語った。「バーチ手術は恥骨近傍の靱帯に膀胱頚部を縫合するための皮膚切開が必要になる。また、同手術の方が合成素材を用いた恥骨後式スリング手術よりも耐久性があるのかは判明しなかった。これらのことからメッシュテープ全体が合成素材からなるスリング手術が標準治療となっている。しかし、使い方を誤れば、合成メッシュテープを用いたスリング手術により問題が生じる場合があり、起こりうる合併症には膀胱穿孔、メッシュ腟内露出、排尿困難、切迫性尿失禁の悪化、尿路感染症、痛みなどがある。これらの手術を多く手がけており、起こりうる合併症に対処する方法を知っている医師に患者を紹介するよう必ず配慮したい」

腹圧性尿失禁に関連する症状は、クリームまたはパッチ剤として用いるデュロキセチンや、イミプラミン、エストロゲンなどの一部の薬剤で効果が得られる可能性もある。

ボトックスや骨盤底強化体操以外の切迫性尿失禁の治療選択肢を以下に挙げる。

・薬物療法:米国医療研究品質局(Agency for Healthcare Quality and Research)の2010年のレビューによれば、選択肢には抗ムスカリン薬や、トルテロジン、トロスピウム、ソリフェナシン、ダリフェナシン、フェソテロジンなどがある。混合作用のある薬剤は、オキシブチニン、プロピベリン、フラボキサートなどである。イグレシア氏は「このうち最良といえる薬は存在しない」としている。「薬剤の多くには便秘や口渇など類似した副作用があり、一部の薬剤は高価である。私は、一般に患者の保険が利く薬から開始し、期待する効果が得られるまで徐々に増量できる薬剤を好んで用いる」

・神経変調療法:メッドトロニック社のインタースティム(仙骨神経刺激装置)療法は、軽いエネルギーの振動を用いて、仙骨神経を刺激する植え込み装置である。通常、薬物療法に反応しなかった患者向けである。低電圧の電気刺激を用いて、過活動膀胱の症状や、切迫性尿失禁を引き起こす神経を抑制するというアプローチである。イグレシア氏は「世界各地で100,000台を超えるインタースティム装置が埋め込まれ、最大80%の改善が得られている」という。「また、タンポンに似た刺激装置(経腟的電気刺激)もあり、約12週間にわたり1日2回腟内に留置する。エネルギーを後脛骨神経刺激に用いることもでき、その場合は週1回12週間行う」

フェンナー氏は、アメリカン・メディカル・システムズ(American Medical Systems )社から研究助成を受けたことと、UpToDate社から謝礼金を受け取っていることを開示した。

イグレシア氏は、FDAの医療機器諮問委員会の産科婦人科機器委員会のメンバーで9月8日~9日に会談したことを明示した。

ブルベイカー氏は関連する資金源の開示はないとした。


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