レボリッド5mgは、通年性および季節性アレルギー性鼻炎、慢性特発性じんましんの治療薬です。また動物によってもたらされる動物アレルギーの諸症状の改善にも広く使われています。
アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となる花粉、ハウスダダスト、かび類、小麦粉などの抗原(アレルゲン)を鼻や口から吸い込むことで、鼻の粘膜がこれらの異物を排除しようと過剰に反応して起こるさまざまな症状です。くしゃみ、鼻水(水性鼻漏)、鼻づまり(鼻閉)がアレルギー性鼻炎の三大症状で、このような症状が一年中現われるのを「通年性アレルギー鼻炎」、またある季節にだけ症状が現われるのを「季節性アレルギー鼻炎」と言い、花粉症もこの仲間に含まれます。治療方法には、外科手術、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などを使用した薬物治療などがあります。
また、これといった原因がないのに毎日のように繰り返し現われるじんましんを「特発性じんましん」と言いますが、これが1ヵ月以上続く状態が慢性特発性じんましんです。感染、食べ物、疲労、特定の薬剤などが主な原因と考えられ、また上気道感染との関連性が認められることもあります。慢性特発性じんましんの治療の根本は、まず可能な限りじんましんの原因を追及し、治療をすることですが、一般的にはヒスタミンH1受容体拮抗薬の服用が推奨されています。
動物アレルギーとは主にペットをはじめとした動物の毛、ふけ、皮脂腺からの分泌物、羽、唾液、尿などへの接触や接近によって誘発されるくしゃみ、鼻水、目の痒みや赤み、涙目、顔の腫れ、呼吸困難などの症状を指します。近年の「ペットブーム」によるペットの飼育総数の増加や、住宅事情などによる室内での飼育、そして「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」として家族同然としてペットを扱うなど、ペットと人間がより密接に生活するようになっているという現状から、年々増加傾向にあるアレルギー症状です。アレルギー治療の基本はアレルゲンとなる物質を避けることですが、飼っているペットによる動物アレルギーの場合は発症したからといってすぐにペットを手放すというわけにはいきません。そのため、アレルギーを発症させないよう、ペットや部屋を清潔に保つ、症状を悪化させないよう自身の健康を保つ、発症した場合にはアレルギー薬などによって症状を効果的に改善するといった処置が必要となります。
アレルギーの諸症状やかゆみは、ヒスタミンという化学物質が受容体と呼ばれる受け皿と結びつくことで起こります。レボリッド5mgの有効成分である塩酸レボセチリジンは、アセチルコリン受容体、アドレナリン受容体、セロトニン受容体などへの結合親和性が低い反面で、ヒスタミンH1受容体に対して強力な拮抗作用を持ち、その働きを阻害するヒドロキシジン塩酸塩の主要代謝物です。また、第1世代の抗ヒスタミン薬の多くで問題になっていた錯乱、眼のかすみ、便秘、口の渇きなどの抗コリン作用などに基づく副作用が少ないのが特長です。さらに、血液-脳関門の通過性が低いために中枢への影響も少ないとされ、効き目が速く、1日1回の服用で長時間にわたって症状軽減効果を得ることができます。
塩酸レボセチリジンの活性本体である塩酸セチリジンは、日本では『ジルテック』の名前でアレルギー性鼻炎、じんましんなどの治療薬として1998年に発売されていますが、塩酸レボセチリジンはこのうちより強い生理活性作用を持つ部分のみを光学分割したものです。セチリジンの半量でセチリジンと同等の抗アレルギー効果があることが確認され、また副作用の可能性の高い部分を含まないために、セチリジンと比べて副作用が少ないとされています。塩酸レボセチリジンは、2010年5月までに世界93ヵ国でアレルギー性鼻炎および慢性特発性じんましんを適応症に承認されており、また日本では2010年10月に製造販売の承認を受けました。