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2013-09-22

ソース(記事原文):PHYS.ORG

プロポフォールの発見が新しい麻酔薬の開発に役立つかもしれない

PHYS.ORG(2013年9月22日) ― セントルイス(St. Louis)のワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)およびインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の研究者らは、広く使われている麻酔薬であるプロポフォールが、手術中に患者を鎮静させるために脳内の受容体に結合する部位を特定した。

現在のところでは、プロポフォールが麻酔を誘発するのにどのように脳細胞に接続するのかまだ明らかになっていない。研究者らは、学術誌『ネイチャーケミカルバイオロジー(Nature Chemical Biology)』オンライン版で発表された今回の調査結果が、最終的には副作用が少なく、より効果的な麻酔薬の開発につながると考えている。

「長年にわたり、麻酔が作用する機序は分かりにくいままだった」と、共同治験責任医師でありワシントン大学ヘンリー・E・マリンクロット(Henry E. Mallinckrodt)教授および麻酔科部長であるアレックス・S・エバース(Alex S. Evers、MD)は説明した。「我々は、プロポフォールのような静脈麻酔薬がGABAA受容体と呼ばれる脳細胞の重要な受容体に作用することを知っていたが、その受容体に結合した部位は実のところ正確には分からなかった」

プロポフォールは、短時間作用型の麻酔薬で手術する患者によく用いられる。麻酔が切れるのが早く、多くの他の麻酔薬と比較して吐き気を催しにくい。しかし、リスクがない訳ではない。潜在的に危険な副作用としては、血圧低下と呼吸抑制とが挙げられる。

科学者らは、手術中にプロポフォールが麻酔を誘発する方法を理解しようと試みて、その結合部位を脳細胞のγ-アミノ酪酸タイプA(GABAA)受容体内で特定しようとした。これらの受容体を例えばプロポフォールで活性化すると、細胞の活動が低下する。

研究者らは、GABAA受容体を構成するアミノ酸を変化させてプロポフォールの結合部位を見出そうとしたが、エバースは、そのような方法では正確な部位を確実に特定することができないと述べた。

「以前の研究で麻酔薬結合部位を直接特定しようとしたが、結合試験を行う前にGABAA受容体を細胞膜から抽出し精製しなければならなかった」とエバース。「我々の方法では、我々は自然の膜環境で無傷の受容体に結合するプロポフォールを研究することができた」

麻酔薬と自然環境でのGABAA受容体との間の相互作用を解析する技術を開発したエバース教授の研究室は、同じ取り組みを行っていたインペリアル・カレッジのグループと提携した。生物物理学及び麻酔薬の教授であるニコラス・P・フランク(Nicholas P. Franks)博士率いるグループは、数年間かけて、特定の波長に露光するとプロポフォールとして正確に同じように振る舞い、かつGABAA受容体の結合部位に永久に付着する標識基を含むプロポフォールの光アナログを生成した。

プロポフォールのアナログ生成は、研究者が分子上に小さなフックを設置するようなものであった。そうすれば、GABAA受容体に結合する際に受容体にひっかかり、去ることがない。

「通常、麻酔薬は一時的にGABAA受容体に結合する」とフランクは説明した。「しかし、今回の研究の目的を達成するため、我々は、受容体に麻酔薬を永久に結合させるためのこの化学的なフック??の作動が可能なほかは、プロポフォールと全く同じように振る舞うアナログを生成したかった。次に行ったステップは、受容体を抽出し、それを切り分け、プロポフォールアナログが受容体に付着したタンパク質の正確な部位を特定することであった。これは、ワシントン大学のエヴァースグループが完成した巧妙なステップであった」

エバースとフランクは、この手法が持つ意義は、プロポフォールなどの麻酔薬を超えていると考えている。

「例えば麻酔を誘導するなど、麻酔薬には望ましい効果があるが、望ましくない影響もある」とエバースは述べた「例えば、プロポフォールは血圧を下げ、呼吸を妨げることがある。これらの潜在的な問題を誘発するタンパク質の結合部位がどのようなものかを正確に理解することによって、我々は最終的に、危険な副作用はないが我々が望む効果のある薬を設計し選択することができると期待している」

彼らが開発した手法を使用して、エバースとフランクは現在、他の麻酔薬の結合部位を特定しようとしている。彼らは、彼らのアプローチを向精神薬、抗けいれん薬などの他のタイプの薬の研究にも適用できると考えている。


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