パントスチンは、男性型脱毛症やびまん性脱毛症など、主に遺伝による抜け毛を抑制するための外用薬です。男性型脱毛症の中でも特に初期症状に向いていますが、作用がマイルドなため、男性だけでなく女性でも安心して使用できるのが特徴です。また副作用がほとんどなく、ほかの発毛・育毛剤との併用も可能です。
髪の毛が細くなったり、量が少なくなるのにはさまざまな理由がありますが、そのひとつが男性ホルモンです。男性ホルモンのテストステロンは、5α-リダクターゼと呼ばれる酵素と結びつくと、さらに強力な男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。このDHTが、前頭部や頭頂部において細胞増殖阻害作用のあるTGF-β(ベータ)などを誘導し、毛母細胞の増殖を抑制するように働きかけることで毛髪の成長期が短縮し、長く太い毛に成長する前に抜けてしまいます。
男性特有のホルモンだと思われがちなテストステロンは、女性においてもわずかながら分泌されており、骨や筋肉の成長や性衝動の亢進などに作用しています。その量は男性の約5-10パーセント程度で、このテストステロンが卵巣でアロマターゼ酵素によって女性ホルモンのエストロゲンに変換されます。
女性の体内で分泌される男性ホルモンの量は一生を通じてほとんど変化はなく、若い頃は女性ホルモンの生産が活発であるためテストステロンの影響を受けることはほとんどありません。ところが出産、更年期、閉経などにより女性ホルモンの分泌が激減すると、今度は次第に男性ホルモンの影響を強く受けるようになってきます。髪の毛が細くなったり、抜けたりするのはこのホルモンバランスの乱れが原因で、また髪の毛全体が知らずのうちに薄くなっていくびまん性脱毛には遺伝が大きく関与していると考えられています。
パントスチンは遺伝性脱毛症を含む脱毛症状を抑制するための外用薬です。有効成分のアルファトラジオールは、男性型脱毛症の原因となるDHTの産生を阻害することで、毛根をダメージから守り、抜け毛を減らすように働きます。
同様の効果を示す成分としてフィナステリドなどが有名ですが、その効果に定評がある一方で、女性には適用がありません。ところがアルファトラジオールは、フィナステリドと比較してその効果はマイルドであるため、男性型脱毛症の中でも初期症状の改善にしか適していませんが、副作用がほとんどないことから早期の段階から長期間にわたって使用できるだけでなく、女性でも使用できるのが特徴です。
なおパントスチンは、脱毛を抑制する効果が主であるために育毛の促進は期待できません。そのため、パントスチンで脱毛を抑制し、それに加えて「パントビガール」などを併用することで、より高い育毛の相乗効果が期待できます。
パントビガールについては
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