ディカリス150は、抗がん剤であるフルオロウラシルとの併用による、主に大腸がんの治療に使用される免疫賦活(めんえきふかつ)剤です。
病気の原因となる細菌やウイルスなどが体内に侵入した際に、これらの異物を殺したり、排除したりして、身体を守る働きを免疫と言いますが、この免疫機能を活性化して抵抗力を増強する物質が免疫賦活剤です。
がん細胞は人間の体内に発生する異物であり、1日2000-3000個のがん細胞が発現していると言われています。
しかしがんが発症しないのは、体内で正常な免疫機能が働き、がん細胞を排除しているためです。
何らかの原因により体の免疫力が減少して、これらのがん細胞を排除できなくなり、体内で成長・増殖を続けていくと、最終的にがんに至ります。
従来のがん治療は、外科療法、化学療法、放射線療法が3大治療とされていましたが、最近注目されている治療法のひとつが免疫療法です。免疫療法は、免疫力の低下した細胞を培養し、人工的に活性化させ、その数を増やすことによって免疫力を回復させる療法で、がん細胞への攻撃、がん細胞の増殖抑制や転移の予防が主な目的です。
免疫療法は大きく、非特異的免疫療法と特異的免活療法に分けられます。
前者は今のところいちばん実用化され、広く臨床応用されている免疫療法で、複数の免疫の免疫機能を高めることでがん細胞を殺す治療法です。
一方後者は、特定の免疫に対してのみその機能を高める治療です。
このうち化学療法剤であるフルオロウラシル(5-FU)とディカリス150の有効成分であるレバミゾールとの組み合わせも非特異的免疫療法の一種に含むことができ、外科的切除後の補助療法として再発の予防と生存率の延長に有効であることが報告されています。
レバミゾールは、本来は駆虫剤として幅広く使用されていましたが、動物や人間に対しては免疫機能を修飾し、動物では腫瘍の増殖を抑制する働きがあることが知られていました。1980年代の初期に、レバミゾールが大腸直腸がんに対して抗腫瘍効果が認められたという臨床結果が報告されて以来、抗腫瘍剤としての注目を集めるようになりましたが、その後に行なわれたいくつかの臨床試験では、レバミゾール単体では大腸(直腸)がんの術後の補助療法として有効ではないことが明らかになりました。
しかし最近になってフルオロウラシルと併用することで、大腸がんの術後補助療法に有用性が見られることが相次いで報告されています。
それによると、リンパ節転移がある段階における併用で、再発が41%、死亡率は33%それぞれ減少したとの結果が出ていますが、その理由についてはまだ解明されていません。