ディアビスタ30mgは、以下のいずれかの治療で充分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合にII型糖尿病の治療薬です。
・食事療法、運動療法のみ
・食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
・食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
・食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
・食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用
食べ物や飲み物が消化されると体内でブドウ糖(グルコース)と呼ばれるエネルギー源がつくられ、血液によって体の細胞に運ばれて筋肉や臓器で使われます。
血中のブドウ糖(グルコース)量を示す値を血糖値と呼びますが、この血糖値が異常に高くなる状態が続くことで血管や臓器に支障をきたし、さまざまな身体障害を引き起こすのが糖尿病です。
健康な状態ではインスリンと呼ばれるホルモンがブドウ糖(グルコース)の量をコントロールし、筋肉や臓器にエネルギーを送っていますが、糖尿病になるとこのインスリンが不足したり、うまく作用しなくなります。
そのためブドウ糖(グルコース)が細胞に取り込まれなくなり、筋肉や臓器で血液中のブドウ糖(グルコース)が使われなくなるために全身のエネルギーが不足した状態になるのです。
すると、のどの渇き、体重減少、視力異常、倦怠感、尿の量・回数の増多、立ちくらみなどの症状が起こり、またこのような代謝機能の異常な状態が長期間続くと体内の血管が詰まり、眼、腎臓、神経などに障害が起る「糖尿病性合併症」を引き起こす原因ともなります。
糖尿病は主に2種類に分類することができます。I型糖尿病は、すい臓のβ細胞というインスリンを作る細胞が破壊され、体内のインスリン量が絶対的に足りなくなって起こります。
通常は若い人や子供に多くみられるため、若年性や小児性糖尿病と呼ばれることもあります。
またII型は、何らかの原因でインスリンの分泌量が少なかったり、インスリンの働きが悪くなったりすることで起こる糖尿病のことを指します。
中でも、すい臓からインスリンが分泌されても筋肉や臓器が血液中のブドウ糖(グルコース)を取り込まない状態をインスリン抵抗性と呼び、内臓肥満、高血圧、低HDLコレステロール血症の人などに多くみられる傾向があります。
このII型の原因として考えられているのは、遺伝と生活習慣です。例えば食べ過ぎ、運動不足、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、加齢などが関わっているとされており、日本人糖尿病患者の約95%以上がこのタイプだとも言われています。
またI型が急激に発病するのに比べ、II型はゆっくりとその症状が現われ、初期段階では自覚症状がほとんどないのも特徴です。
これら2タイプのほかに、ほかの病気や薬の影響で起こるものや、妊娠がきっかけとなって起こる糖尿病(妊娠糖尿病)もあります。
糖尿病の初期治療では、薬物などによる治療よりはむしろ食事療法および運動療法が重視されます。
これにより血糖の低減、心肺強化、血圧降下などの効果が期待できるために、通常は薬物療法に入る前の治療として、また薬物療法と併用して行ないます。
ディアビスタ30mgの主成分である塩酸ピオグリタゾンは、脂肪細胞、骨格筋、および肝臓などインスリンの作用が重要となる細胞にみられるペルソキシソーム増殖剤活性化受容体と呼ばれる核内受容体を活性化させて、インスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化します。
このことにより、脂肪細胞から分泌されインスリン感受性を上げる作用のあるアディポネクチンと呼ばれるホルモンの血中が上昇させられます。
アディポネクチンは運動の糖代謝に深くかかわっているAMPキナーゼを活性化させ、肝臓での糖の産生の抑制と、骨格筋細胞へのブドウ糖(グルコース)の取り込み促進させることからインスリン抵抗性改善作用を発揮するとされています。
ディアビスタ30mgは食事療法および運動療法では効果が現われなかった人、またこれらに加えた一部の薬物療法で効果が見られなかった人に対して有効な薬です。