ゾール・エフ軟膏はステロイドと抗真菌薬を配合し、白癬、水虫、膣内および口腔イースト菌感染症、アレルギー症状、湿疹、乾癬、口角炎、いんきんたむしなど、幅広い症状に対して効果を発揮する抗真菌軟膏です。
キノコ、酵母など、カビの仲間を総称して真菌と呼びます。胞子を撒き散らして繁殖するものが多く、この胞子を吸い込んだり体の表面に付着することから、真菌感染症は肺や皮膚から始まることが多いようです。
またこれ以外にも、カンジダのように口中、消化管、膣などに普通に生息している真菌もあります。普段は人体に対して害を与えませんが、風邪、疲労、ストレスなど体力の低下をはじめ、ステロイドや抗生物質の使用などが原因となって抵抗力が低下したり、女性では生理前などで黄体ホルモンの影響によって膣内が酸性になるなどホルモンバランスが崩れると発症し、感染症を引き起こします。
真菌は高等植物や原生生物と同じように真核細胞でできており、二重の核膜に囲まれた核を持っています。一般植物の細胞と似て、キチン、セルロース、グルカン、マンナン、キシランなどの多糖から成る厚い細胞壁を持っていますが、主に有機物を直接摂取して栄養にしています。
また真菌は毒素を分泌しないため、菌の増殖による組織の侵食と、炎症反応により病変が起こります。そのため真菌による感染の治療は、主に菌の細胞分裂を抑えて増殖を阻止する薬が使用されます。
ゾール・エフ軟膏に含まれるミコナゾールは、低濃度では主として細胞膜ならびに細胞壁に作用して、細胞の膜透過性を変化させることにより抗菌作用を示し、また高濃度では細胞の壊死性変化をもたらして殺菌的に作用する、という特徴を持っています。細胞膜や細胞壁が変化した真菌は、その内部構造を守ることができなくなり、やがて死滅します。
このほか、ゾール・エフ軟膏のもうひとつの有効成分であるフルオシノロンはステロイド性抗炎症剤で、細胞が炎症を起こすことによって合成されるプロスタグランジンやロイコトリエンという物質の働きを抑えることで、はれや痛み、かゆみなどの炎症反応を抑制します。
これらの2つの成分の働きにより、ゾール・エフ軟膏は真菌により起こるさまざまな感染症の症状を速やかに改善します。
適応症状
●ミコナゾールとして
体部白癬(斑状小水疱性白癬、頑癬)、股部白癬(頑癬)、足部白癬(汗疱状白癬)、指間びらん症、間擦疹、乳児寄生菌性紅斑、爪囲炎、外陰カンジダ症、皮膚カンジダ症、でんぷう
●フルオシノロンとして
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そう痒症、痒疹群(じんましん様苔癬、ストロフルス、固定じんましんを含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、薬疹・中毒疹