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2011-09-14

ソース(記事原文):ニュースメディカル

セレコキシブが肺癌細胞内の酵素GSK3を阻害する

ニュースメディカル(2011年9月14日)―いくつかの臨床試験により、抗炎症薬セレコキシブの服用は、結腸癌につながるポリープの発生リスクを低下させることが明らかにされている。ただし、これまでの研究によると、この作用は心疾患リスクの増大を代償とするものだった。しかし、この代償が必要なかったとしたらどうだろう?

エモリー大学ウィンシップ癌研究所(Winship Cancer Institute of Emory University)の研究者らは、セレコキシブ(セレブレックス)が、既知の作用とは別に癌細胞を自殺に追い込む方法を特定した。ウィンシップ研究チームの結果報告は、心疾患リスクを回避しつつ癌予防性を維持するというセレコキシブの別の選択肢への経路を概説している。

セレコキシブの心疾患リスクにより、この薬の使用は、遺伝的に癌リスクがある人やすでに癌が発生してしまった人に限られている。腫瘍の進行や再発を阻止する有効性については、肺癌、頭頸部癌、その他の癌の患者を対象とした複数の臨床試験で検討が行われている。

シヨン・スン博士(Shi-Yong Sun, PhD)と同僚らは、次号のキャンサー・リサーチ(Cancer Research)誌で、肺癌細胞内のGSK3(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3)と呼ばれる酵素をセレコキシブが阻害すると報告している。c-FLIPと呼ばれるタンパク質は、通常、細胞の自殺であるアポトーシスを防いでいるが、GSK3阻害によりこのタンパク質の消失が起こる。

「我々は、セレコキシブがCOX-2の阻害とは関係なく、どのように癌細胞のc-FLIP分解とアポトーシスを誘発するのかに注力してきた。」とスン博士は述べている。

科学者らの間では、セレコキシブの抗炎症性および心疾患への影響の根拠は、そのCOX-2阻害能力にあると考えられている。

スン博士は、エモリー大学医学部の血液学・内科的腫瘍学教授であり、ジョージア癌連合の優れた腫瘍学者(Georgia Cancer Coalition Distinguished Cancer Scholar)でもある。今回の論文の第一著者でポスドクのシュゼン・チェン(Shuzhen Chen)氏は、現在、北京の中国医科学院医薬バイオテクノロジー研究所(Chinese Academy of Medical Sciences' Institute of Medicinal Biotechnology)に在籍している。ウィンシップ癌研究所で副所長を務めるファドロ・キュリ医師(Fadlo Khuri, MD)は、今回の論文の共著者である。

数年前まで科学者らの間では、GSK3の阻害はおそらく糖尿病などの疾患には有用だが発癌を促進すると考えられていたこともあって、今回の結果は驚くべきものであった。その一方で最近の研究結果から、GSK3の阻害は、前立腺癌、膵癌、結腸癌のほか、いくつかのタイプの白血病で細胞成長を阻止する可能性のあることが示唆されている。

スン博士による注意事項:「セレコキシブによるGSK3阻害が、この薬剤の心血管リスクと関係があるかどうかについては不明である。」


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