サンドミグラン0.5mgは、古典型片頭痛や普通型片頭痛などの血管性頭痛および、群発頭痛(周期性片頭痛様神経痛)などを予防する薬で、実際に起こった片頭痛を治療する効果はありません。
片頭痛は、月に1-2回、多いときでは週に1-2回程度の頻度で発症する、主にこめかみから目にかけての周辺で起こるズキズキとした痛みです。国際頭痛学会では「原因不明の慢性頭痛で発作性に発症し、片側性、拍動性で中等-強度の頭痛が4-72時間持続し、日常生活に支障をきたす」頭痛と定めており、 日本人の場合、成人の約8%にみられ、男性よりも女性の方がはるかに多いという統計もあります。
全て片側の頭痛と思われがちな片頭痛ですが、実際に片側に起こるのは薬66%で、残りの約33%は両側で起こります。頭痛以外にも吐き気や嘔吐、光、音に過敏になるといった症状を伴うことがあり、人によっては発症前にキラキラ光る点(閃輝暗点)の視野への出現、半身のしびれ、脱力感などの前兆が現れるケースもあります。
以前は古典型片頭痛(前触れの後に起こる脈打つような頭痛)と普通型片頭痛(前触れなしに突発する頭痛)に分けられていましたが、現在は国際頭痛学会において「前兆を伴う」ものと「前兆を伴わない」ものとに分類されており、いずれも頭痛発作時の症状に違いはありません。
片頭痛が起こる仕組みはまだはっきりと解明されていませんが、片頭痛発生時に脳血流の変化が認められていることから、神経伝達物質であるセロトニン(5-HT)と三叉神経が関わっていると考えられており、2つの仮説が立てられています。
そのひとつは、何らかの原因により脳内部や周辺の血管が収縮した後に、頭蓋骨内外の血管が異常に拡張することによって炎症物質が産出されるために痛みが起こるという「血管説」です。
また、もうひとつは、頭部、顔面、口、鼻、角膜などの感覚をつかさどる脳内最大の脳神経である三叉神経から神経伝達物質が過剰に分泌され、この物質が血管を拡張させて血管の透過性が亢進することで周囲に炎症が起こり、これが三叉神経から脳に伝達されて痛みが起こる「三叉神経血管説」です。
サンドミグラン0.5mgの有効成分であるピゾチフェンリンゴ酸塩は、セロトニンの働きを抑える役目を持つセロトニン拮抗薬です。
血管にセロトニンが作用するとまず血管が収縮し、その後セロトニンがなくなると今度は血管が拡張して片頭痛となって現われます。サンドミグラン0.5mgはこのセロトニンの働きを抑えることで血管の収縮およびその後の拡張を防ぎ、頭痛を起こさないようにする薬です。
片頭痛は原因が不明なため、その治療薬には「片頭痛が起きた際にその痛みを軽減させる」薬と、「片頭痛の頻度や頭痛時間を軽減させる」薬などがありますが、このうちサンドミグラン0.5mgは片頭痛が起こらないようにする予防薬です。起こった片頭痛症状を軽減させる効果はありません。