ガバピン-400は、ほかの抗てんかん薬で充分な効果が認められない人の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法に使用されています。
てんかんは、さまざまな要因で起こる脳の慢性的障害で、大脳ニューロンの過剰発射の結果で起こる発作です。
そのうち通常月に1回以上の頻度で発作を起こすものは難治性てんかんとされています。
成人においては部分発作が高い割合を占めており、てんかん患者の約30%は単剤治療で発作をコントロールすることができないため多剤併用療法が使われていると言われています。
多剤併用療法において重要視されていることは、「作用機序の異なる治療薬の併用」「類似の副作用を起こさない治療薬の併用」「重大な薬物相互作用を引き起こさない薬の併用」です。
従来の抗てんかん薬にはフェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウムなどがありますが、これらはいずれも神経細胞膜やシナプス機能に直接作用し、神経細胞の過剰興奮を抑える薬剤です。
しかし実際問題として、従来の薬剤ではてんかんの発作をコントロールできない例が増えてきており、全体の3割程度を占めるようになってきているとの報告があります。
また中には副作用の関係でこれらの薬を継続して服用することができない人もいるため、既存の薬とは異なるアプローチの抗てんかん薬が求められるようになりました。
ガバピン-300の主成分であるガバペンチンは、新しいタイプの抗てんかん剤でγ-アミノ酪酸の誘導体です。
γ-アミノ酪酸はGABAとも呼ばれる天然に存在するアミノ酸の一種で、主に抑制性の神経伝達物質として機能しており、自律神経などからの過剰刺激を抑え、不安状態や興奮を和らげる精神安定作用があります。
またその脳内の含量の低下や働きが阻害されることにより、けいれんが誘発されます。
ガバペンチンの作用機序については解明されていませんが、脳全体に存在して神経伝達物質の放出に関わっている電位依存性N型カルシウムイオンチャンネルを阻害し、カルシウムイオンの細胞内へ流入による神経伝達物質の放出を抑制する作用や、γ-アミノ酪酸(GABA)の合成促進によって脳内のγ-アミノ酪酸(GABA)の含量を増加させてGABA神経系を亢進させることによるものであると考えられています。
現在、ガバペンチンは世界91ヵ国で抗てんかん剤として広く使用されており、アメリカなどでは帯状疱疹後疼痛の治療剤としても適応されています。