イグザレルト20mgは、非弁膜症性心房細動の人における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症を抑制する薬です。
血液には、酸素や水分、ホルモン、ビタミン、栄養素などを体の隅々まで届けるほか、体内の老廃物や不純物を体外に排泄する代謝作用などの大切な役割がありますが、喫煙、飲酒、暴飲暴食、偏食、ストレスなどが原因となってこの血液が血管の中で固まり、血管壁に付着したものを血栓と言い、またこの血栓が血流に乗って流され、その先の血管をふさいでしまう状態が塞栓です。組織や臓器に障害を起こし、脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓、深部静脈血栓症などを引き起こす原因にもなります。
本来、血栓は損傷した血管を修復するためもので、何らかの原因で血管が傷つくとその部分に血液が粘着・凝集し、主に血小板が負傷した部分に集まることで止血を開始します。しかし血小板の凝集だけでは充分な止血ができないため、同時にフィブリノーゲンと呼ばれるたんぱく質がフィブリン(線維素)という固形に変化し、血小板に重合して血球をくるみ込んで血栓となり、完全に止血します。健康な人であれば修復後はプラスミンという酵素がこれを溶かし、血流が自然と元通りになる「線溶」という作用が働きますが、血栓症の人ではこの作用が正常に働かないために血栓が溶けず、血流の流れを妨げたり、完全に血液の流れを遮断してしまいます。
このように血液の凝固にはフィブリンが関わっており、凝固因子と呼ばれる物質が複雑に関与し、最終的にすべてが第X因子にたどり着くことで凝固作用を発揮します。この血液凝固反応の中心的な役割を担う第Ⅹ因子を阻害することによってフィブリンの生成を抑制し、結果として血栓の形成を予防する抗凝固薬がイグザレルト20mgです。有効成のリバーロキサバンは、選択的かつ直接的に第Ⅹ因子の活性形である第Ⅹa因子を阻害することで、抗凝固作用を発揮します。ちなみに、ひとつの第Xa 因子からは、血液凝固にかかわる酵素であるトロンビンが1000分子生成されると言われています。
一方、心房細動は不整脈の一種で、心臓が小刻みに震えている状態を指しますが、心臓の拍動が上手くいかずに血流が滞ってしまうことで血液の流れが悪くなり、大きな血栓が生成されやすくなります。この血栓が脳の血管を詰まらせると脳卒中が発生することもあるため、イグザレルト20mgは心房細動による血栓の生成予防目的でも使用されます。