アンピシリン250mgの主成分であるアンピシリンは、グラム陰性菌にも作用する広範囲合成ペニシリンとして開発された以下の菌および適応症に効果を現わす薬です。
・適応菌種
アンピシリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、炭疽菌、放線菌、大腸菌、赤痢菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌、梅毒トレポネーマ
・適応症
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮炎、外傷・熱傷および手術創などの二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿痬、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、梅毒、腹膜炎、肝膿痬、感染性腸炎、子宮内感染、眼瞼膿痬、麦粒腫、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、抜歯創、口腔手術創の二次感染、しょうこう熱、炭疽、放線菌症
アンシピリンはβ-ラクタム系抗生物質の一種です。
この物質の特徴は、分子構造にβ-ラクタム環と呼ばれる四角形の環構造を持っていることで、細菌の細胞壁の成分であるペプチドグリカンの合成を阻害する作用があります。
多くの細菌は細菌の形態を一定に保ち、外部の圧力などから細胞内部を保護する働きを持つ役割を果たしています。
ちなみに細菌細胞内の浸透圧はかなり高いため、この細胞壁が存在しなければ細胞内に入り込んだ外部からの水によって細胞が膨張させられ、最終的には細胞を破裂してしまいますが、細胞壁はその細胞の膨張を一定で抑え、細胞が破裂することを妨げています。
また細胞壁には感染の際に生体内に入る足がかりとなる構造物も含まれており、病原菌の発揮に重要な役割を果たしているため、この細胞壁は細菌にとっては大変重要なものです。
しかしペプチドグリカンの合成が阻害されることによって細胞壁がつくれなくなった細菌は、細胞分裂ができなくなるか(静菌作用)または浸透圧に耐えられなくなることで破滅(殺菌作用)することになります。
また人間などの高等動物には細胞壁がないため、人間の細胞がβ-ラクタム系抗生物質によってダメージを受けることはありません。
最初に発見されたβ-ラクタム系抗生物質はペニシリンです。
しかしペニシリンはブドウ球菌を代表とするグラム陽性菌、グラム陰性球菌に対しては強い抗菌作用を持っていましたが、臨床的重要性の高い大腸菌を代表とするグラム陰性桿菌には抗菌作用が弱いという問題点がありました。
ペニシリンのすぐれた作用を残しながらこの問題点を解決し、開発されたのがアンピシリン250mgの主成分であるアンピシリンです。
作用としては、同じくペニシリン系のアモキシリン(アモキシシリン)と似ているとされています。